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<声明>安倍元首相の国葬に反対し、閣議決定の撤回を求める

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                                 2022年8月23日 医療法人名南会理事長  三宅 隆史

さる7月22日、岸田内閣は参議院選挙の遊説中に銃撃を受け亡くなった安倍晋三元首相の国葬を9月27日に実施することを閣議決定した。

明治憲法下では「国葬令」が存在し、皇族と「国家に偉功ある者」に対して国葬が行われてきた。しかし、「国葬令」は1947年に、政教分離や思想良心の自由などを保障する日本国憲法の施行と同時に失効しており、今回国葬を実施する法的根拠がないにも関わらず、国の最高機関である国会で議論なく実施することは民主主義の否定である。

岸田首相は国葬とする理由について、憲政史上最長の8年8か月にわたり卓越したリーダーシップで内閣総理大臣の重責を担ったこと、東日本大震災からの復興や日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交などで大きな実績を残したことなどをあげている。

しかしながら、安倍政権下では「アベノミクス」によって貧困と格差が深刻化し、安保法制の強行採決や集団的自衛権の行使容認、「桜を見る会」「森友学園」「加計学園」に象徴される政治の私物化など、憲法と平和を守り、人権と公正の視点で、国民のいのちとくらし最優先の政治をめざす私たち民医連や医療法人名南会の立場や要求とは相反することが次々に強権的に推し進められてきた。

このように安倍元首相に対する評価は人それそれで異なるもので、安倍元首相に対して弔意を示すか否か、またどのように示すかは個人の自由である。しかしながら、国葬として実施される場合、個々の国民に対して安倍元首相に対する弔意を事実上強制することにつながることが強く懸念され、思想良心の自由を保障する日本国憲法の趣旨に反するものである。また、コロナ禍で貧困と格差が拡大し、物価高などの国民生活の困難さが増すもとで、巨額の国費が投入されることも容認されるものではない。

安倍元首相が無法な銃撃によって殺害されたことに対して、深い哀悼の意をあらわすとともに、安倍政治を全面的に肯定することにもつながりかねない国葬に反対し、閣議決定の撤回を求めるものである。

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